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【早めの受診】脚の付け根が痛くなる変形性股関節症は特に女性に多い

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変形性股関節症とは何でしょうか。

 

ここでは、病態と原因や症状、診断方法、運動療法、手術適応などをお話していきたいと思います。

 

意外と知らないミクリッツ線についても触れていきます。

 

病態と原因

患者さんの多くは女性です。

 

その場合、原因は発育性股関節形成不全の後遺症や股関節の(臼蓋)形成不全といった子供の時の病気や発育障害の後遺症が主なもので、股関節症全体の80%といわれています。

 

最近は高齢社会となったため、特に明らかな原因となる病気に罹ったことが無くても年齢とともに股関節症を発症してくることがあります。

 

先天性股関節脱臼とは

はっきりとした原因はわかっていませんが、生まれつき股関節が脱臼している、子宮内での異常姿勢、遺伝的素因(家族性)などが考えられています。

最近は、発生率が減少しているそうです。

 

臼蓋形成不全とは

臼蓋(股関節の屋根の部分)の不完全な発育により大腿骨頭への被りが浅い状態で、先天性股関節脱臼に起因するもの。

 

成長期に臼蓋の発育が正常に進まない後天的なものがあります。

 

中年以降に痛みが出て、はじめて臼蓋形成不全と診断される場合も少なくありません。

 

一次性と二次性

一次性

明らかな原因がなくて関節が壊れるもの(原因不明)。

 

これは関節軟骨の細胞が老齢化して、しっかりと働かなくなったためと考えられています。

欧米では、この一次性が大半を占めます。

 

二次性

何らかの病気やケガが原因でおこってきます。

 

日本では、この二次性が大半を占めています。

 

先程お伝えした通り、先天性股関節脱臼と臼蓋形成不全によるものが約90%で、圧倒的に女性に多いという特徴があります。

 

ほかにはペルテス病や特発性大腿骨頭壊死症、関節唇損傷などがあります。

 

最近は高齢社会となったため、特に明らかな原因となる病気に罹ったことが無くても年齢とともに股関節症を発症してくることがあります。

 

症状

股関節症の主な症状は、

関節の痛み機能障害です。

 

股関節は鼠径部(脚の付け根)にあるので、最初は立ち上がりや歩き始めに脚の付け根に痛みを感じます。

関節症が進行すると、その痛みが強くなり、場合によっては持続痛(常に痛む)や夜間痛(夜寝ていても痛む)に悩まされることになります。

 

一方日常生活では、足の爪切りがやりにくくなったり、靴下が履きにくくなったり、和式トイレ使用や正座が困難になります。

 

また長い時間立ったり歩いたりすることがつらくなりますので、台所仕事などの主婦労働に支障を来たします。

階段や車・バスの乗り降りも手すりが必要になります。

日本整形外科学会より引用

 

変形性股関節症は、日常生活に重くのしかかってきます。

 

股関節の付け根の痛みが取れない場合は、なるべく早く受診するように心がけましょう。

 

診断方法

診断にはレントゲン撮影が不可欠です。

 

その見方を知っておくことは病気の理解を深める為にも重要なことだと私は思います。

 

正常股関節のレントゲン像(X-P)では、股関節臼蓋(屋根)と大腿骨頭の表面には隙間が空いて見えます。

 

これは、大腿骨頭表面を覆っている軟骨がレントゲンに映りませんので、隙間が空いて見えます。

 

隙間が十分にあれば軟骨は正常に存在していると解釈してよいと思います。

 

また、正常の場合、骨頭は寛骨臼によく覆われています。

 

変形性股関節症が始まると、臼蓋と骨頭の体重のかかる部分が白く写る(⇒骨硬化像など)変化が生じます。

この状態を前期(変形性)股関節症といいます。

 

さらに進むと、関節の隙間が狭くなり、この状態を初期(変形性)股関節症といいます。

 

進行期股関節症になると臼蓋や骨頭の骨硬化部に穴が空いてくる骨嚢包形成が起きます。

また、関節の隙間がさらに狭くなる関節裂隙狭小化、臼蓋や大腿骨頭に過剰な骨ができてくる骨棘形成といった変化も起きます。

 

末期になると関節の隙間が全体に消失し、体重のかかる部分の骨はすり減って骨硬化や骨棘形成も非常に顕著になります。

全体に関節が変形してしまった状態を末期股関節症といいます。

 

分類も存在しますので、載せておきます。

参考にどうぞ。

 

Kellgren-Lawrence分類

グレード0

正常(骨棘なし、関節裂隙の狭小化なし)

グレード1

微小な骨棘形成が疑われる

関節裂隙の狭小化なし

グレード2

軽度な変形性関節症

 微小な骨棘形成あり

 関節裂隙の狭小化あり(残存関節裂隙1/2以上)

グレード3

中等度な変形性関節症

 骨棘形成あり

 関節裂隙の狭小化あり(残存関節裂隙1/2以下)

グレード4

高度な変形性関節症

大きな骨棘あり

著明な関節裂隙の狭小化あり

(関節裂隙が閉鎖された箇所も認められる)

 

ミクリッツ線

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ミクリッツ線とは、「大腿骨頭の中心」と「足関節(距骨)の中心」を結んだ線のことを言います。

 

正常な下肢(脚)は、ミクリッツ線が膝関節の膝蓋骨中央を通り、体重が膝関節に均等にかかると言われています。

 

もし、このミクリッツ線が、膝の内側を通れば、内側にストレスが掛かり易くなるので「O脚(内反)」の状態を表します。

 

逆に、膝の外側を通れば、膝の外側にストレスが掛かり易くなるので、「X脚(外反)」の状態を表します。

 

レントゲンで脚全体を撮影された場合は、先生がミクリッツ線を見て、体重がかかっている位置がどこなのかをみているのかな?と考えてみましょう。

 

運動療法

簡単ではありますが記載します。

 

一番にやってはいけないことがこのSLR運動です。

 

SLR運動は禁忌です。

 

SLR運動は、寛骨臼と大腿骨頭に負荷がかかり、疼痛の増大が起きます。

 

また、腸腰筋の作用により股関節屈曲拘縮を引き起こし、腰椎前弯増強が起きます。

 

腰椎前弯増強すると、腰痛の原因にもなります。

 

 

なぜ、腸腰筋が作用しすぎると悪いのか?

 

 

それは、女性特有の内また歩きにポイントがあります。

 

内また歩きを行うと、寛骨臼と大腿骨頭のかみ合わせが強固となり圧が増大しやすくなります。

 

ちょっと補足ですが。

逆に内また歩きをしていることで、お尻のたるみが見られます。

 

これは、大殿筋を上手く使えていないため、変形性股関節症の方には鍛えていただきたい筋肉と言えます。

 

その他には、体重の減少。

これは一つのキーポイントですね。

 

体重が減ることで寛骨臼と大腿骨頭のかみ合わせる圧が減り、進行を遅らせることが出来ます。

 

股関節の負担を減らして運動をする方法は、散歩やウォーキングではありません。

 

やるなら自転車エルゴメータや水中ウォーキングです。

 

この2つの方法を推奨します。

ただ、やりすぎ注意です。

 

自転車エルゴメータや水中ウォーキングをやった後の疲労は半端ないですよ。

 

やった後に動けなくなったという声を聴いたことがあります。

 

自分に合った運動量で行ってくださいね。

 

人工股関節を受ける(適応)タイミング

人工股関節を受けるタイミングって皆さんが考えるのは難しいですよね?

 

受けるタイミングとしてよく私が耳にするのが、生活に困っているかどうかです。

 

生活もできないと仕事もできない。

 

痛みが強くて寝てばっかりいる生活になり、活動量が減少した。

 

こうなると、体重は増え、筋力が落ちるため変形性股関節症は進む一方。 

 

そんな方は、ドクターに相談してみると良いと思います。

 

 

ただ、1つ心にとどめていてほしい事は、年齢も考慮して考える必要があるということです。

 

30~40歳代の方が手術を受けたいと相談すると、返事はこう返ってきます。

 

『あなたの年齢では、人工股関節の対応年数より生きるため、人工股関節はまだ難しいです』

 

人工股関節には対応年数があります。

約15年から20年とされています。

 

仮に40歳の方が手術を受けたとして、60歳でピークが来るということです。

 

『リハビリを併用してもう10年はなんとか保存で行きたいところ…』とお話があるかもしれません。

 

 

  • 人工股関節にして違う場所の痛みが治ったという方がいらっしゃいましたので、ご紹介します。

 

この方も股関節の痛みがあったのですが、それよりも遥かに脛(下腿)から足首(足関節)にかけて。

前脛骨筋にそって痛みがひどく、5分くらい歩くだけできついと訴えがありました。

レントゲンやMRIなどを診ても異常は見つかりません。

 

 

この方が人工股関節の手術を受けたところ、脛から足首にかけての痛みはすぐになくなりました。

 

ドクター曰く、痛みは原因の場所だけが痛むとは限らないとの事です。 

 

体に痛みがあると、どうしてもそれを庇う動きになるので違う箇所に痛みが出やすくなるのですよとお話をお聞きしました。

 

【まとめ】

いかがでしたか?

 

早め早めの受診を心がけましょう。

 

脚の付け根が痛いな。

 

1週間経っても痛みが引かないな。

 

そんな方はすぐに相談してください。

 

 

少しでも進行を遅らせて健康に生きることが出来るのって

素晴らしいことですよ。